仙台東口矯正歯科の歯科衛生士・鈴木です。
今回のテーマは、外科手術を伴う治療(外科矯正)についてです。当院では数多くの外科矯正の患者さんがいらっしゃいます。当院で実際に治療をされた患者さん(許可をいただきました)のお写真で説明していきます。
〇 年齢 31歳8か月 男性
〇 主訴 噛み合わせ・顎の非対称が気になる。それにより、口の中に傷ができる。
〇 診断 顎変形症(下顎前突、非対称)
〇 抜歯 上顎左右5番、下顎左右4番
〇 装置 マルチブラケット装置
〇 治療期間 3年10か月(治療回数 59回)
〇 治療費 35~50万円
〇 リスク・副作用 むし歯・歯周病・歯根吸収
初診時の口の中のお写真です。(2017.5.24)
写真を見ていただくとわかるように全体的な歯のデコボコ・真ん中のずれ(左にずれている)・噛み合わせの面の傾き(黄色の線)が見受けられます。お顔のお写真を見ても、鼻から真っすぐにおろした線としたあごの先端の位置がずれているのがわかります。
“顎変形症”という病名が付き、口腔外科のある大きな病院と連携をして、保険診療で矯正治療を進めていくことになりました。
顎関節の検査をしたところ、顎の非対称があることから、顎に負担がかかっていたので、まず矯正装置を付ける前に“スプリント”と呼ばれるマウスピースを使用して顎関節の安定を図りました。
数か月使用してだいぶ落ち着いたので矯正装置を付けることになりました。
装置を付けた時のお口の中の写真です。(2018.6.30)上の左右の4番目の歯を抜歯して、並べていきます。
手術前に行う矯正を術前矯正とよびます。術前矯正では、歯のデコボコを取り、隙間を全て閉じた後、何度か模型をとって模型上でしっかり噛むまで調整します。通院間隔はだいたい月に一度となります。
術前矯正を3年行い、いよいよ手術になります。こちらが、手術前の写真です。(2021.6.10)
手術後に固定するために、ワイヤーに“フック”を付けた状態で手術を受けてきていただきます。このフックが付いたことでさらに歯磨きがしにくくなるのでいつも以上に丁寧に歯磨きしていただく必要があります。
手術後のお口の中の写真です(2021.7.14)
手術直後はお口が十分に開かないので、だんだん開けられるようになったらワイヤーを真っすぐなものに変えます。大抵は術後1か月ぐらいで変えられます。
お口が十分に開かないうちは普通の食事もできないので、口腔外科の先生の指示に従い、少しずつ噛み応えのあるものにしていきます。
手術後に行う矯正を、術後矯正とよびます。術後矯正では微調整がおもな治療となります。手術後最低半年間は装置が外せないので、その間に真ん中を合わせたり、上下の歯がしっかりと機能するよう調整していきます。
こちらの患者様は術後矯正を8か月行い、装置を外しました(2022.4.26)
お顔のお写真です。左右の非対称が改善され、お口を閉じた時の唇の形も自然になりました。
今はリテーナーを毎日お使いいただいて、後戻りを防いでいます。
患者様の感想は、噛み合わせが良くなり、“歯をくいしばる”という言葉の意味が初めて分かった。手術前後の生活や食事制限はしんどかった。とのことでした。
外科矯正を受けられる方は、普通の矯正治療の方よりも大変なことが多いです。ただ、乗り越えた先に得られるものも大きいですので、やる価値はかなり大きいと思います。費用は全て保険適用となりますので、だいたい矯正治療40万円・手術費用30万円くらいです。
初診相談でだいたいのことはわかりますので、自分が保険適用かどうか知りたい方はぜひご連絡ください。
今回お写真を使わせていただくことを快諾してくださった患者様、ありがとうございました。